断絶の時代
ダイヤモンド社刊
2400円(税別)

 「知識労働者の動機づけに必要なものは成果である」(『断絶の時代』)

 肉体労働については、よい仕事に対するよい賃金でよい。知識労働については、すごい仕事に対するすごい報酬でなければならない。知識労働者が求めるものは、肉体労働者よりもはるかに大きい。異質でさえある。

 知識労働者は生計の資だけの仕事では満足できない。彼らの意欲と自負は、知識人としての専門家のものである。

 知識労働者は知識をもって何事かを成し遂げることを欲する。したがって、知識労働者には挑戦の機会を与えなければならない。知識労働者に成果を上げさせるべくマネジメントすることは、社会や経済にとってだけでなく、彼ら本人のために不可欠である。

 知識労働者は、自らがなすべきことは上司ではなく知識によって、人によってではなく目的によって規定されることを要求する。

 知識には上級も下級もない。関係のある知識とない知識があるだけである。したがって知識労働はチームとして組織される。仕事の論理が、仕事の中身、担当する者、期間を決める。

 「有能なだけの仕事と卓越した仕事の差は大きい。そこには職人と親方の違い以上のものがある。知識労働ではこれが顕著に現われる。知識労働は一流を目指さなければならない。無難では役に立たない。このことがマネジメント上重大な意味をもつとともに、知識労働者自身にとっても重大な意味をもつ」(『断絶の時代』)