みずほ銀行の副頭取から、信託銀行のトップに就任した中野社長。「堅忍力行」の精神で、グループの連携強化に心血を注ぐ。

みずほ信託銀行社長 中野武夫<br />一体運営に向け発想を転換<br />銀行との統合も引き続き検討Photo by Toshiaki Usami

──中期経営計画の柱となる銀行、信託、証券の「一体戦略」をどう推進していくか。

 「銀信証」の連携ではなく、一体運営ということで、さらにフェーズを上げて取り組むことになる。他のメガバンクは、銀行は銀行、信託は信託という側面が大きいが、われわれは「オールみずほ」で顧客基盤を活用し、総合的にサービスを提供していく。

 従来は個別のエンティティ(法人)単位で戦略を立案する面があったが、今回からはグループ横断で戦略を立案し、業務を遂行するかたちになる。支店長会議でも、「発想の転換が必要だ」と言っている。

──フィナンシャルグループ(FG)の立場から各法人の企画管理部門を横断的に統括する「グループ長」との連携が、一体運営を機能させるためのカギになる。

 FGのグループ長と、日夜侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をしていくことになるのだろう。すでに各分野でミーティングが開かれており、各施策の徹底をしている。うまくワークすれば大きな力になる。

──将来の銀行と信託の統合についての見解は。統合するメリットとは何か。

 統合の可能性は慎重に検討していくが、当面はグループの一体運営を徹底的に進めていく。統合するメリットは、本部や間接部門の効率化だけではない。証券代行や年金など、みずほ信託単体でどれだけ取引しているかが重要だという企業に対し、統合によってアプローチを強める効果もある。