iPodからiPhoneまで、アップル復活の舞台裏を知る「唯一の日本人経営者」が、アップル退社後に初めて語る「これからの世界」での働き方。ジョブズ、ティム・クック、ラリー・エリソンらビジネス界の巨人とわたり合った伝説の外資トップが教える「世界標準の武器」とは?

30年間、グローバル企業で働き、学んだこと

 私は今、年間およそ5000人の前で講演をしています。企業から依頼されて幹部候補の部長たちに話す場合もあれば、これから企業を支える20、30代向けの社内研修や、就活中の大学生のセミナーにもよく呼ばれます。

 変わったところでは、公立高校の校長先生の前でも話をしました。先日は、都内の高校生が私の講演をぜひ学校でやりたいと、校長先生を口説いて講演会を実現させてくれたので、生徒、先生、それに生徒の親の前でも話をしました。

 いつも決まった原稿を読むのではなく、集まった人たちの反応を見ながら自由に話すのですが、たいていは私がこれまで仕事を通して経験したこと、出会った人たちから得たこと、そして、これからの世界で働く人たちに必要だと思うことです。

 すると、幸いなことにどこの会場でもみなさん、面白がってくれます。講演が終わると、私のもとに寄ってきて、「世界で仕事をするとはどういうことか、よくわかりました」と興奮気味に話す人もいれば、「今の自分では世界で通用しないのを痛感しました」と危機意識を持つ人もいます。

 また、「自分も世界に出てバリバリ働きたい」と新たに目標を見つける人もいて、自分の話が多少なりとも影響を与えられたかと思うと、とてもうれしく感じます。なぜ、そんな幅広い世代の、それも職種もバラバラな人たちが、私の話に興味を持ってくれるのか。それはきっと、私が少しばかり変わったキャリアを持ったビジネスマンだからだと思います。