GW明けに突如起こった川口順子議員の解任劇。みなさんはどう思っただろうか? 元外相で参院環境委員長だった川口順子参議院議員が、中国での「出張の延長」により予定されていた環境委員会が流会。これを理由に野党が解任決議案を提出し可決された経緯はご存じかと思う。念のためにつけ加えておくと、川口氏が中国での滞在を延長したのには下記のような背景がある。

〈アジア各国の外相経験者らの「アジア平和・和解評議会」メンバーの一員として4月23日に北京入りした。参院から24日までの渡航許可を得ており、環境委出席のため同日中に帰国するつもりだった。だが、24日になって急遽、同評議会と楊氏との会談が25日に設定された。川口氏はすぐさま自民党の脇雅史参院国対委員長に電話をかけ、会談出席のため渡航期間の延長を訴えた。川口氏が出席しなければ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、中国がねじ曲げた主張を一方的に繰り広げることになり、他の参加者に誤った認識を与える危険があるからだ。〉(出典:MSN産経ニュース

 この川口氏の行動に対して野党側は「国会軽視」「ルール無視」として激しく批判。ついには現在の憲法の下では初となる委員長解任劇となった。

 政治的な分析は当連載の本分ではないのでやらない。しかし、この解任劇を見ていると、日本のCSR界が置かれた「課題」との共通点があると感じる。それは、CSRとコンプライアンスの関係。もっと言えば、「企業の正義」と「ルール」の関係である。

「正義」と「ルール」がぶつかり合うとき

 社会貢献には「正義」が要る。そこに社会的正義のないCSRやソーシャル・ビジネスはそもそもが成り立たないからだ。しかし「正義」はしばしば「ルール」とぶつかり合う。その極端な例が革命だ。革命を企てるということは、国家に対する反逆を企てることであり、国家反逆罪はどこの国でも死刑というくらいの重罪、つまり「重大なルール違反」である。

 革命家としていまだにカリスマ的人気を博すゲバラだって、時のキューバ政権からすれば極悪人もいいところで、しかし民衆からすればゲバラやカストロの革命は「正義」だったわけで、だから革命も成立したわけだが、当時のキューバの法律に照らせば「違反」だったことに間違いない。そもそも、革命を合法化するような法律は、世界のどこの国にもないわけで、革命とは常に、正義とルールのぶつかり合いなのである。