井端純一社長オウチーノ代表取締役
社長兼 CEO
井端純一 いばた・じゅんいち
同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGAT SURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、ホームアドバイザーを設立。新築・土地専門サイト「新築オウチーノ」、中古専門サイト「中古オウチーノ」、リフォーム業者検索サイト「リフォーム・オウチーノ」、建築家マッチングサイト「建築家オウチーノ」、賃貸専門サイト「キャリルーノ」などを運営。2012年、オウチーノに社名変更した。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通刊)などがある。

急増する空き家問題は
補助金で解決できる!?

 日本全国の空き家の数は年々、増え続けていて、2008年の調査では757万戸、空き家率は13・1%に達している。

 その5年後となる今年、総務省が新たな調査を行うが、空き家は800万戸を超えると見られている。このまま放っておくと20年後には空き家率が25%近くになるという試算もある。

 こうした事態に対し、国土交通省は空き家の解体費用(個人が行う場合)を、一部補助する方針を打ち出した。国と自治体で合わせて費用の最大5分の4を支援するという。首都直下地震など大災害が起こった場合、空き家が倒壊して都心部の避難路をふさぐ危険があることから、支援体制を強化するものだ。

 ほかにも、空き家には風景・景観を悪化させ、犯罪の温床になりやすい、ごみの不法投棄を誘発するなど数々の問題がある。補助金により空き家問題が解決するなら万々歳だが、しかし、そう簡単に事が運ぶのだろうか。

 空き家が放置されるのは、解体費用がかかることもあるが、税金面のハードルが高い。建物がなくなって更地になると固定資産税が6倍に跳ね上がるのだ。「解体費用をどうぞ」といわれても、首を縦に振らない持ち主は多いのではないか。

「空き家を緑地にすれば
固定資産税ゼロ」政策

 日本は、65歳以上人口が21%以上という超高齢社会だ。30年には65歳以上が3人に1人になると予測されている。家が余ることは誰にだってわかる理屈だ。本当の問題は、その対策が縦割り行政の中で講じられていて、実効性に乏しいことだ。なぜ、空き家対策と税制を結び付けて一挙に解決を図れないのか。

 ドイツのライプツィヒという古都は、旧東ドイツではベルリンに次ぐ第2の都市だったが、東西ドイツ統一後の10年間で約10万もの人口が減少した。そのとき同市は、空き家の解体費に補助金を出すとともに、次の用途が決まっていなければ、10年間は緑地として使う、その際は固定資産税を免除するという政策を打ち出した。