政治家が、その言葉で失敗したり、問題をおこすことは古今、数多い。

 特に最近は、それが目立つ。例えば、アベノミクス効果で好調な経済を演出し、今や圧倒的な支持率を誇る安倍首相は、歴史認識問題で米国や韓国の不興を買い、その言葉をトーンダウンさせた。

 また猪瀬東京都知事は、アメリカのメディアのインタビューで、オリンピック招致のライバル都市を貶めることを言ったということで謝罪に追い込まれた。

 さらに橋下大阪市長、日本維新の会共同代表は、従軍慰安婦について誤解を与えるようなことを言い、また沖縄駐留米軍に風俗業の活用を進言したということで問題になっている。

 それぞれの言葉の内容については、私は直接聞いたわけではない。また各氏は釈明ないし、主張に間違いはないなどと言われているので、それについて云々しようとは思わない。しかし、政治家は、その考えを言葉にして発する場合、よほど慎重に、誤解を与えぬようにしていただかねば、国益を損ねるということだけは言わせてもらいたい。

 自分の口から出てしまった後で、マスコミが悪い、意図が曲げられたと文句を言ってみても、まさに後の祭り。たとえ意に反するかもしれないが、とにかく早く火を消さねば、燃え続け、火は大きくなり、何もかも燃やしてしまうかもしれない。

三愆(躁隠瞽)に心すべき

 論語で「言」に関して最も有名なのは次の言葉だ。

子曰はく、巧言令色鮮(すくな)し仁。(学而第一)
(言葉巧みで容貌を飾り、やたらと愛想の良い人は、徳の無い人だ)