すいません、今週も本題はお休みにさせてください。民主党のマニフェストが発表されましたが、報道での評価は意外と本質に言及されていないので、今回はその点を説明したいと思います。

社会主義と脱官僚は両立するのか?

 民主党がマニフェストを発表した翌日の報道を見ていますと、メディアや自民党の批判の多くは「そんなにバラまいて、財源が本当に捻出できるのか」といった点に集中していました。

 しかし、この問題はあまり本質でないような気がします。机上の計算と現実が違うというのはよくあることであり、仮に民主党が政権を取ったら、現実に即してファインチューニングすれば済む話です。

 そうした個別政策という枝葉の部分もさることながら、政策体系という太い幹の部分についても注目すべきではないでしょうか。そうした観点から気になるのは、“社会主義と脱官僚は本当に両立し得るのか”ということです。

 民主党のマニフェストは、売り文句の“生活支援”を実現するための“国民にお金あげます”政策のオンパレードです。正直、そこまで手厚くやる必要があるのかと思わざるを得ません。悪く言えば、社会主義的な方向性と言えなくもないです(ちなみに、子ども手当と高校教育無料化で6.2兆円です。財源の捻出ばかり議論されますが、そもそも今年度の当初税収見込みが46兆円という経済において、税収の10%以上を家計に配るのが本当に正しいか、という議論が必要だと思います)。

 しかし、そうした方向性は、民主党の最大の売り文句である――マニフェストでも5原則の一丁目一番地に掲げている――“脱官僚”と両立し得ないのではないでしょうか。政府の関与が増えれば増えるほど、大きな政府とならざるを得ないはずだからです。