雑誌はアプリで定期購読するという買い方が、日本でも始まっている。

「Newsstand」というアプリをご存知だろうか? iPadやiPhoneのホーム画面に、いわば仮想の雑誌ラックを作ってくれるもので、そのレパートリーは「週刊アスキー」から「ナショナルジオグラフィック」まで硬軟多彩。「週刊ダイヤモンド」も配信中だ。週刊誌/月刊誌、男性誌/女性誌のジャンルをまたいで、多くの雑誌や新聞が定期購読可能。一度購読登録してしまえば、自動的に最新号がダウンロードされる機能もある。

 Newsstandで雑誌を読んでいて気づかされるのが、カバーストーリーの導入にロードムービー風の動画が挿入されていたり、ボタンをタップすると誌面に並んだ商品の説明がポップアップで表示されたりと、デジタルならではの見せ方の工夫が盛り込まれている例が多いことだ。しかもそれでいて、価格は紙版よりも大幅に安いものが大半である。

 5月16日に配信がスタートした「Dモーニング」も、そんな定期購読型雑誌アプリのひとつ。「週刊モーニング」の発売日と連動して、毎週木曜日に最新号が配信される。同誌連載のうち『バガボンド』と『BILLY BAT』は、作者の意向もあってこの電子版には掲載されないが、代わりに『沈黙の艦隊』の復刻連載など、電子版ならではのコンテンツもあるし、ダウンロードの待ち時間に表示される連載もある。月額購読料は500円/月と、やはり紙版(330円×4~5号)よりかなり割安だ。

 紙版に匹敵する電子版が手軽で安価に購読できるのは、読者としては嬉しい限りだが、視点を180度巡らせてビジネスとして見れば、価格下落圧力が強い中で、いかに利益を確保するか?という課題が見えてくる。

 そこで講談社広報室に訊ねてみた。すると、紙版から電子版に完全移行するつもりはないとのこと。どういうことか?