前回の連載では、「伝える力」を高めるポイントについてお話いたしました。本日は「段取り」についてです。内容だけを気にしても仕事はうまくいきません。「どの順序で、何にとり組むべきか」「どうすれば効率的になるか」を考える力が必要です。

A先輩とBくんの会話。
悪いのはBくんだけ?

 もうずいぶん前の話ですが、“段取り力”という言葉が話題になりました。仕事ができる人は能力が高いわけではなく、段取る要領が優れている、という話です。

 確かにビジネス・プロフェッショナルは段取り能力に優れています。それは、仕事内容の良し悪しはもちろんのこと、それとは別に、作業のタイミング次第で努力が台無しになることを知っているから注力しているのです。

 たとえば、こんな話があります。どこに問題があるかを考えながら、読み進めて下さい。

A先輩 「午後からの報告会で使う参考資料は印刷できた?100ページで50部もあるから時間に間に合うか心配でさ」
Bくん 「大丈夫です。時間はかかりましたが、開始前に揃います」
A先輩 「ありがとう。あれ? この資料、背景がほとんど真っ黒で字が読めないじゃないか!?」
Bくん 「あっ、白黒モードで印刷したから文字が黒色だ…」
A先輩 「ああ、印刷し直す時間はないし、これじゃ使えないよ!(まったく、何て使えないヤツなんだ!)」

 A先輩の力作資料は、Bくんが印刷設定を間違えて出力したために、肝心の報告会に提出することができませんでした。A先輩にしてみれば、努力が日の目を見ることなくお蔵入りになってしまったのですから、やり切れません。