FOMCでも鮮明化したQE3縮小の方針
バーナンキショックでBRICsから資金が逃避

 5月22日、FRBのバーナンキ議長が、金融緩和策(QE3)の縮小を示唆する発言を行った。それにより、世界の金融市場に激震が走った。米国の金融緩和策を前提としていた投資家の多くが、慌てて保有するリスクを減らす(リスク・オフ)の行動をとり始めたからだ。

 米国の資金供給量が絞られる懸念から、米国債が売られ長期金利の上昇傾向が鮮明化した。また、わが国をはじめ世界の主要株式市場は一斉に売り込まれ、株式市場は不安定な展開になった。

 為替市場でも同じように、ヘッジファンドをはじめ、大手投資家のリスク・オフの動きが顕在化した。その結果、それまでのドル強含みの展開が逆回転し、一時ドルが大きく売り込まれることになった。

 足もとで、しばらくバーナンキ・ショックが薄れてきたと思ったら、6月20日、FOMC(連邦準備制度理事会)後の会見で、同氏は「米国経済の回復が続く前提の下で、今年中にQE3を縮小し、来年半ば頃までにQE3を止める」との見通しを公表した。

 今回のバーナンキ議長の発表によって、米国の金融政策の変更がほぼ間違いないことが明確になった。それをきかっけに、新興国の株式市場が不安定化すると共に、当該国の通貨が軒並み弱含みの状況になっている。

 明らかに、世界の投資資金が新興国から逃げ出している。金融専門家の間では、「新興国相場が終焉を迎えた」との見方が有力になっている。

 つい最近まで、世界経済の中で欧米諸国の経済が低迷する一方、BRICsに代表される新興国が高い経済成長率を達成してきた。その背景には、欧米諸国が2000年代中盤の大規模な不動産バブルの後始末に腐心していたことがある。