中国では携帯電話やスマートフォンに頻繁にセールスのショートメッセージが送られてくる。以前はマンション販売の広告が多かったが、最近は銀行からの理財商品の勧誘が非常に多い。6月には期間数カ月で7%を超える利回りが提示されていた。ある銀行は、20万元以上の理財商品を購入した人には、アップルのiPadミニやパナソニックの空気清浄機が抽選で当たるとのメッセージも流していた。

 6月の上海銀行間市場でのクレジットクランチは、理財商品を含むシャドーバンキング(影の銀行業)に傾注し過ぎた金融機関に中国当局が「お仕置き」を与えようと市場への資金供給を絞り始めたことで発生した。予想外のタイミングでそれが始まったため、「お仕置き」対象外の金融機関も混乱に巻き込まれた。バーナンキFRB議長のQE3縮小発言で世界の金融市場が揺れていたときと重なったことも間が悪かった。

 また、上海の短期金融市場には、東京で日銀や短資会社が発表しているような準備預金残高に与える要因の予想(銀行券や財政資金等の資金需給予想)が存在しない。このため、中国人民銀行の資金供給量が実際のところ多いのか少ないのかを判断する材料がなく、不安がより拡大してしまった(6月17日、25日の通達で人民銀行は、資金需給予想の分析を進めるように中国の銀行に促している)。