J-POWER(電源開発)社長 北村雅良
撮影:宇佐見利明

──英投資ファンド・TCIによる株式買い増し問題は、JーPOWERによる買い取りで幕を閉じた。どう総括しているのか。

 当時はIR担当の副社長として交渉に当たってきた。われわれにはない発想をする投資家の登場に戸惑ったが、いい経験だった。ファンドは増配や、借り入れを活用した経営で企業価値、つまり株価を上げるべきだと提案してきたが、われわれの経営とは相いれなかった。ファンドは短期的な視点で株価を引き上げようという発想だ。

──これに対する主張は。

 電力事業は電気事業法などの縛りもあり、長期で少しずつ儲けるというローリスク・ローリターンの経営が求められる。議論は常に平行線だったが、こうした経営姿勢をぶれずに言い続けることの重要性を認識した。今後もわれわれの経営を理解してくれる方に株主になってほしい。