バレンタインデーが終わって、シングルの肌身の寒さを感じた人も多いことだろう。いや、バレンタインデーでなくとも、不況下では人恋しくなる。実際、不景気になると、伴侶を探す人が増えるらしい。

 ある調査によると、景気後退が始まってからオンラインのデート・サイトへの登録はうなぎ上りだという。今後1~2年は毎年30%の伸びを示すという予測すらある。オンライン・デート・サービスは紛れもなく不景気でもしぶとく生き延びるビジネスなのだ。

 アメリカではオンライン・デート・サービスは今や日常の道具だ。先駆者のマッチ・ドットコムが1995年にサイトを開設した時には、「インターネットでパートナーを探すなんて」とちょっとした笑いの種になったものだった。だが、今や同サイトの有料会員は120万人に増加し、2008年で3億6500万ドルを売り上げたといわれる。オンライン・デート・サービス市場では、3割以上のシェアを持つ。日本語サイトもあるが、本家本元のアメリカでは、今やマッチ・ドットコムと言えば、オンライン・デート・サービスの別称とまでなっている。

 調査会社ジュピターの推定によると、2007年に9億ドル規模だったアメリカのオンライン・デート市場は、2012年には19億ドルに拡大する。日本では、この手のサービスは「出会い系サイト」などと呼ばれて怪しいサイト扱いされるか、あるいはお堅い「お見合いサイト」にはっきりと分類されるところだろう。

 だが、アメリカでは様相がまったく異なっている。もともと新聞や雑誌での「恋人募集」のような個人広告がさかんだったお国柄もあり、オンライン・デート・サイトは初期の“抵抗線”を軽々と超えて、ひとときの出会いから結婚を目的としたまじめなおつきあいまで、幅広い目的を持つユーザーに利用されている。

 自分を売り込むことに長けているアメリカ人も多く、「セクシーでフォトジェニック」とか、「チャーミングでユーモアたっぷり」とか、日本人ならばとても口にできそうもない自信満々の自己紹介文で溢れているのが特徴だ。