人気の2機種の価格を下げて攻勢をかけるNTTドコモ。いわゆる「ツートップ戦略」は、iPhone対抗策になり得るのか。

NTTドコモ社長 加藤 薫 <br />ツートップ戦略は順調も<br />顧客流出は防げなかったPhoto by Toshiaki Usami

──今年6月の携帯電話の契約動向では、ドコモは新規契約者から解約者を差し引いた数がマイナス5900件の「純減」と、今年度目標の185万件の「純増」に早くも黄色信号がともっています。

 まだ、スタートから3カ月です。これからがんばりますよ。ツートップ戦略は順調です。7月8日時点で「エクスペリアエース」は94万台売れて、過去にないペースです。「ギャラクシーS4」も45万台に到達しています。

──それも、ドコモ利用者の「機種変更」が多いと聞きます。

 従来型の携帯電話からエクスペリアへの契約変更は6割を超えています。ギャラクシーも4割ぐらいです。われわれは今、より収益性の高いスマートフォンへのシフトを目指しています。今回の第1目標はスマホ基盤の拡大ですから、それはうまくいっていますね。

──ただ、携帯電話番号持ち運び制度(MNP)を利用して他社に移った契約数はiPhone5発売以降、止まっていません。毎月10万件近くの流出が続いています。

 シェアトップの身ですから、MNPで流入数を獲得することはそもそも難しいことです。それでも10万件の流出が続くのはいいわけない。流出防止のためのツートップ戦略でもありました。

 しかしながら、競争相手が対抗してきました。MNP利用者にキャッシュバックするというものです。こちらも「実質0円」にしましたが、他社は現金も戻るため「家族で沖縄に行ってもMNPで他社に乗り換えれば旅行代金もゼロ」という話がまかり通るほどです。この競争が決して正常だとは思っていません。ただ、われわれもそれに対抗していきます。