衆議院選挙で民主党が圧勝し、政権交代が現実化することとなった。海外で二大政党制による政権交代といえば、米国と英国が真っ先に思い浮かぶ。

 米国の場合、共和党と民主党のあいだで、経済政策の差は大きくない。多くの大企業は両党に「ふたまた」献金して、政権交代が起きても不利益を被らないようにしている。軍事産業やウォール街はその典型である。

 政権交代を経ながらも、軍事戦略や金融行政に極端なブレが起きないのは、有力企業の巨額の献金が影響している。オバマ政権も例外ではない。

 こういった政治状況は有力企業にとって歓迎されるだろうが、本来政治が担うべき長期的な観点からの望ましい利害調整、資源配分の機能を低下させているように思われる。

 一方、かつての英国の政権交代は産業界に大きな変化を与えた。たとえば、鉄鋼業は労働党政権によって国有化されたが、続く保守党政権によって非国有化され、労働党によって再国有化された。国有化と非国有化のあいだで揺れた産業はほかにもあった。

 近年の両党の経済政策の距離は以前より縮まっている。それでも、政権交代は金融行政に大きな影響を与えている。

 労働党は1997年に政権に就くと、イングランド銀行に政策金利決定の権限を与える代わりに、FSA(金融監督庁)を創設して、金融監督権限を移した。