海外に進出する日本企業は増加し続け、多くの日本人も海外とビジネスをする機会が増えている。海外でビジネスをする際には、現地の人材を活用する必要があり、そのためには現地の人材が企業に対して何を期待しているのか把握する必要があるのは言うまでもない。

「アジアの“働く”を解析する」の第4回では、これまで紹介した事実を踏まえながら、海外に進出する日本企業や駐在員が現地の人材とどのようにビジネスをしていけばいいのか、その方針について考えていきたい。

東南アジアでは
外資系企業勤務が人気

 まずは、資本の国籍は問わないで、外資系企業での勤務志向がどれだけあるのかについて見ていきたい。

 比較のために、実際に外資系企業で働いている人の割合を見てみよう。実際に外資系企業で働いている人の割合は、特に中国で37.4%と高いが、東南アジア諸国は1~2割にとどまる。一方、韓国は3.9%、日本は5.8%と低い。外資と合資企業の割合を足し合わせても、ほぼ同じような傾向が見られる。

 次に、「外資系企業で働きたい」と思う人の割合を見ると、ベトナム、インド、インドネシア、マレーシア、タイといった国々で、その数値が非常に高い。ベトナム89.1%、インド88.2%を筆頭に、極めて外資系企業志向が高いと言える。

第1回の連載で見たように、グローバル志向者の割合が高いインド、タイ、インドネシアにおいては、「外資系企業に働きたい」と考える人が多いのは当然といえる。しかし、韓国やベトナムのように、グローバル志向者の割合がそれほど高くないにもかかわらず、「外資系企業で働きたい」と思っている人が多い国もある。これはなぜだろうか。

 ベトナムでは、ASEANの中でもタイやマレーシアと比較して経済社会が発展途上であり、働きたいと思う国内企業がそもそもあまり育っていない。そこで、よりよい条件を求めて、外資を志向する人が多いと考えられる。

 また、韓国においては、グローバル志向の高い人は既に海外で働いていることと、内資系企業の代表である財閥に入るのは非常に狭き門であり、そこに就職できない人がよりよい待遇を求め、外資系企業を志向しているという図式ではないだろうか。