米ゼネラル・モーターズ(GM)、米フォード・モーターが相次いで所有する日系自動車メーカーの株を手放した。GMは保有していたすべてのスズキ株(発行済み総数の3%)、フォードは保有するマツダ株33%のうち20%を売却。

 スズキ、マツダはGM、フォードにとって優れた小型車開発で重要な役割を担っていたが、「GMが資金調達上、必要に迫られたのを十分に理解した」(鈴木修・スズキ会長)とこれに応じた。

 スズキ、マツダの当面の課題はエコカーの技術開発だ。巨額の資金が必要な環境技術開発を独自で行なうのは難しいため、スズキはGMとハイブリッド車や燃料電池車を、マツダはフォードと同じくハイブリッド車や水素ロータリー用の基礎研究を協業している。
 
 資本関係は変わってもこれら技術開発や海外の合弁工場、OEM供給などの協業はいっさい変更しないと、スズキ、マツダ共に強調するものの、今までのような密な関係を続けられるかは微妙だ。

 GM、フォードの業績が復活した暁には、スズキ、マツダの株を再び買い戻す可能性はあるが、未曾有の世界同時不況でその先行きは不透明だ。

  また、2012年以降、欧州を筆頭に排ガス規制が一段と厳しくなるため、どの自動車メーカーにとってもエコカーの開発は急務となる。

 これらを踏まえると、スズキやマツダはパートナーの業績回復を待つことなく、環境技術開発が進んでいる日系自動車メーカーと協業を模索することが有力視される。ある日産自動車幹部は「スズキから軽自動車のOEM供給を受けている代わりに、電気自動車の技術を渡す可能性はある」と言う。

「日系自動車メーカーも厳しいとき。資本提携を含めた大型再編はそう簡単には起こらない」(関係者)が、環境技術開発を軸とした資本提携を伴わない技術提携・協業は早急に起こりそうだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 柳澤里佳 )