仕事をするうえで最も大切にすべきスキルは何か――。いざ、そう聞かれると困ってしまう人が多いかもしれない。特に若いビジネスパーソンは答えに窮してしまうことが多いだろう。そこで当連載ではその答えを探すため、いま注目の経営者(社長)たちにその質問をあえてぶつけてみようと思う。数々の苦難を乗り越え、成功を手にした者だからこそ語れる「仕事の極意」がきっとあるはず。成果を生み出すために本当に必要なものは何なのか、(テーマを絞るため、原則として下記の8つのスキルの中から選んでもらい)じっくり語ってもらいたいと思う。

1)情報収集 2)コミュニケーション 3)整理術 4)アイデア・発想 5)ドキュメンテーション(表現力) 6)人脈づくり 7)行動管理 8)モチベーション

 彼らの言葉は、多くのビジネスパーソンにとって貴重なメッセージとなると思う。いまの自分よりも一歩上を目指したいと思っている人たちにぜひ読んで欲しい。


 当連載にご登場いただく5人目は、株式会社オウケイウェイヴ 兼元謙任 社長。芸大を卒業し、デザイナーとしての経歴をもつ兼元氏だが、上京後2年間はホームレス生活を経験。その後、一念発起し、会社を設立。いまや、会員数130万人を超える日本最大級のQ&Aサイト「OKWave」を運営する、上場企業の顔として活躍している。

 兼元社長がホームレス生活という「逆境」を跳ね返し、そこから這い上がることができた原動力とはいったい何だったのか。何が兼元氏を突き動かしていたのか――。今回から2回にわたり、異例の復活劇の“原点”に迫っていこう。

■ 社長ファイルNo.5 ■

株式会社オウケイウェイヴ
代表取締役社長 兼元謙任 氏

■ 兼元社長が選んだ「仕事の極意」(スキル)は・・・ ■

モチベーション/コミュニケーション

兼元謙任兼元謙任(株式会社オウケイウェイヴ 代表取締役社長)
1966年生まれ。愛知県名古屋市出身。愛知県立芸術大学卒。京都のデザイン会社に勤務後、名古屋の塗装工場に転職。社長との衝突がきっかけで工場を飛び出し、上京。仕事がうまくいかず、2年間のホームレス生活を体験。そして99年、一念発起し、オウケイウェイヴを設立。2000年、Q&Aコミュニティサイト「OKWave」をスタート。2006年、名証セントレックスに上場。著書に『ホームレスだった社長が伝えたい働く意味』(大和書房)、『1日1枚成功シート ~これで僕はホームレスから上場企業の社長になった』(東洋経済新報社)等がある。


高城 兼元さんは今でこそ成長企業のトップですが、20代のころはいろいろ大変だったようですね。

兼元 大学を出て京都のデザイン事務所に就職しましたが、約1年半後に地元の名古屋にある塗装工場に転職しました。そこはいわゆる「5K(危険、汚い、きつい、暗い、臭い)」の職場だったのですが、社長に「この状況をデザインの力で変えてくれ」と言われ、すっかり惚れ込んでしまったんです。それから3年ぐらい、その社長にいろいろ教えていただきました。