グーグルの動きが、自律走行車(自走車)のローンチに向けてどんどん加速しているようだ。

 それが明らかになったのは、先だって発表されたグーグルの投資部門、グーグル・ベンチャーズによる「ユーバー(Uber)」への投資である。

「ユーバー」とはどんな会社か?

 グーグル・ベンチャーズともう1社のベンチャーキャピタル会社TPGが2億5800万ドルを投入したこのユーバーは、2009年に創設されたスタートアップで、ハイヤーサービスを提供している。

 ユーバーのアプリでハイヤーを呼べば、位置情報によって近くにいる個人ハイヤーがすぐにつながり、到着時間もわかる。“足”のほしいユーザーとハイヤー運転手との個人同士を結びつけるというもので、サンフランシスコ、ニューヨークなどの都市部でかなり人気のあるサービスだ。

 なぜ、ユーバーへの投資が自走車と関連しているか。

 それには、いろいろな説があるが、1つはグーグルがいずれ自走車のフリートサービスに乗り出して、こうしたタクシー会社に自走車を提供するだろうということだ。そうなった時、グーグルのハードウェアとユーバーのユーザーやシステムがうまく合体する。

 それまでの間でも、ユーバーがユーザーや利用状況、走行する都市環境のデータを集め、それがグーグルの自走車の走行に貢献するということも考えられるだろう。いつ、どのルートが最もよく利用されるとか、どのくらいの距離が最も利用されるかとか、どこが混んでいるのかといったような細かなデータだ。

 また、グーグルがフリートサービスだけでなく、自ら自走車のハイヤーサービス会社になる可能性もある。うわさによると、グーグルは自ら自動車製造にも乗り出す見込みだ。

自動車メーカーの腰の重さに
痺れを切らしたグーグル

 同社は、自動車メーカー大手に自走車ソフトの提供を持ちかけているものの、保守的なメーカー側の受容はどうしても遅くなる。また規制問題もある。それを待つよりは、自ら製造を手掛けた方が早いのではないかというわけだ。すでに自動車部品メーカーとも話し合いを開始しているらしい。

 そうなれば、もう自動車もパソコンのようなコモディティである。グーグルは、そうして製造した自社製自走車を、ユーバーのようなハイヤーサービスに用いるのではないのかというわけだ。