船井総合研究所におきまして「業績を動かす力」とは、目標を達成する力と定義づけています。

 年間の数値目標(予算)を確実に達成するためには、どうやって目標を立案するかという点、立てた目標達成に向けていかにマネジメントするかという点、以上2つのポイントがあります。

“前年踏襲型”と“時流適応型”の計画立案

 まず目標立案においては、バブル崩壊以降、多くの市場が成熟市場へと移り変わってきたなかで、強気の数字目標を控える企業が圧倒的に増えてきました。「とりあえず前年実績を上回る目標にしなければならないが、上積みする数字は僅か」といった前年踏襲型の目標です。ただ、この全てが悪いということではありません。

 良くないのは、市場動向や競合企業との力関係の先読みを怠ってしまうことであり、結果として「立案する方策も前年実施していたことをそのまま継続する」といった安易なものになってしまうケースが非常に多くなってきているということです。

 かつて、高度経済成長期においては、時流に乗じて飛躍的に成長する企業が数多く出てきました。これを単純に「市場が拡大していたから」と片付けてしまうのは簡単ですが、見方を変えると、勝ち抜いた企業は激変する市場をしっかりと読んだ上で重要な意思決定をしていたのではないでしょうか。

 例えば、主力事業に振り向けるリソース(人、金)を削減して、新たな事業の方へ投資するといった戦略的意思決定です。

 現在、大きく市場が拡大するような領域は稀になってきていますが、だからこそ、しっかりと時流を見極めた上での目標立案が必要なのではないかと強く感じます。

“目標未達マネジメント”のワナ

 もうひとつのマネジメント面に関して見られることとして、目標未達に終わる組織においては、リカバリー対策が決定的に遅れている傾向が高いということがあります。早々に諦めてしまっているのではと言えなくも無いですが、そうではないとしても、「まだ何とかなるんじゃないか」といった意識が組織に蔓延してしまい、気づいたときには「時すでに遅し」の状態まで追い込まれているパターンが多いのではないでしょうか。