「販売業や飲食業などでアルバイト店員が自社の主戦力であるにも関わらず、バイト採用業務を軽んじ、それが業績の低迷や悪評につながる可能性に気付かれない経営者が多すぎる」とリクルートジョブズの金子正一執行役員は訴える。経営者が気付くべき点を語ってもらった。

リクルートジョブズ営業統括本部・金子正一執行役員兼本部長

経営者はココに気付け!①
アルバイト採用が下手な企業は業績が伸びない

 非正規社員の割合が増えているのにアルバイトの採用が進まず、新店舗がオープンできない――販売や飲食業の現場では、経営者が理解できない現象が起こっている。総務省の調査によると、役員を除く雇用者のうち非正規の職員・従業員が占める割合は2012年に過去最高の38.2%となり、20年前(1992年)に比べて非正規の比率は16.5ポイントも上昇している(下図)。

「その一方で少子高齢化によって、アルバイトとして働く意欲のある若年労働者の数が減っています。今はその”二つの潮流”が混ざり合っているところですが、今後はさらに少子高齢化が進行し、若年労働者不足は一層深刻化するはずです」とリクルートジョブズ営業統括本部の金子正一執行役員は予測する。

 ところが問題なのは「アルバイトの採用の難しさを経営側が理解されていないこと」(金子氏)にある。経営者が「来期は店舗数を倍増させ、売上高も2倍に伸ばす」という目標を掲げ、出店資金を手当し、店舗候補地も確保しても、そこで働くアルバイトが集まらなければ店はオープンできない。

 例えばコンビニ1店舗を新規開店するにはおよそ20人のスタッフが必要になる。新規に100店舗増やすためには2000人も確保しなければならない。そのため地域によって必要な人数が確保できず、新規開店を延期するケースも珍しくない。「新規出店ができなければ売上げに結び付かず、事業拡大に影響を及ぼします」(金子氏)。アルバイトの採用は、実は重要な経営課題になり得るのである。