誰もが“テクノロジー・カンパニー”になる時代ピーター・ソンダーガード
ガートナー
シニア・
バイス・プレジデント
リサーチ部門最高責任者

 我々は今、誰もが“テクノロジー・カンパニー”となり得る新しい“デジタル産業経済”時代に移行している。組織をリードし、このデジタル・ワールドを闘い抜くには、どうすればいいのだろう。

 10月初めから6週間にわたり、アメリカ、日本、インド、オーストラリア、ブラジル、スペインで「Gartner Symposium/ITxpo 2013」が開催されている。世界中から当イベントに参加する2万人以上のCIO(最高情報責任者)やITリーダーとともに、我々は冒頭に挙げたテーマを考察したい。

 今回のブログでは、シンポジウムの参加者のために、当イベントで取り上げているテーマの概要をお伝えする。まだ参加登録をしていない方々は、このブログを読んで参加を検討してもらえると幸いだ(訳注:日本では、10月15日~17日に開催済み)。

 私は光栄にも、リサーチ部門の他のメンバーとともに、オープニングの基調講演で今年のシンポジウムのテーマを紹介することになっている。この基調講演を通じて我々が今、ガートナーが“デジタル産業経済”と呼ぶ新しい時代に直面しつつある事実を共有したい。

 あらゆる産業で、新たなデジタル化による大変革が訪れようとしている。組織はこの時代を生き抜き、成長しなければならない。したがってこの大変革は、CIOやITリーダー、ひいては組織に莫大な影響を及ぼすだろう。

3段階で進むデジタル・ディスラプション

 具体的に説明しよう。

 現在、官民を問わず、産業ごとに様々なペースで3段階の「デジタル・ディスラプション」(デジタル化による破壊的変革)が生じている。ガートナーが数年間にわたり徹底分析してきた「Nexus of Forces:力の結節」によって、この現象はいっそう顕著になっている。「力の結節」とはソーシャル、モバイル、クラウド、そしてインフォメーション(ビッグデータとも言われる)という4つの相互に関わり合うITトレンドが結び付き、さらなる相乗効果を生むことを指している。

 デジタル・ディスラプションの第1段階では、あらゆる場所にインターネットにつながる安価なセンサーが広がり、商品やサービス、プロセスの改善は直線的に進んでいく。ここで起きていることは「モノのインターネット(Internet of Things)」であり、モノをよりよく機能させるためにセンサーが埋め込まれていくのだ。

 例えばフェデックスの「センスアウェア」サービスは、世界中で輸送される荷物の配送情報をほぼリアルタイムで提供している。「スマートボール」と呼ばれるアディダスのセンサーつきサッカーボールは、テクニックの向上に役立つ情報を選手に与えてくれる。湿度を感じてオムツ替えのタイミングをツイートで知らせるセンサー「ハギーズ・ツイートピー」なんて例もある。赤ちゃんはオムツを換えてほしい時は、いつだって大声で教えてくれるものだとは思うが。