低迷が続くテレビ市場を救えるか?
4Kテレビの販売が予想以上に善戦

 地デジへの移行後、薄型テレビの苦戦が続いていたが、ここへ来てわずかだが先行きに明かりが見え始めたようだ。JEITA(電子情報技術産業協会)や調査会社・BCNの発表によると、薄型テレビの国内出荷台数・販売金額などは、この8~9月期に久々に前年同月を上回ったという。アナログ放送が終わった2011年7月以降、実に2年ぶりのことだ。

 その背景には、4Kテレビの販売が予想以上に善戦していることがある。4Kテレビとは、ハイビジョンテレビよりも4倍画質がきめ細かい高画質のテレビを指す。4Kテレビに関しては、専門家の間でも賛否両論様々な見方があった。当初はむしろ、「家庭で見るテレビでそこまで画質がよい必要はない」との見方が有力だったように思う。

 しかし、昨年末から東芝やソニー、シャープなどの有力メーカーが、こぞって4Kテレビの本格的な製品展開を始め、当初は1インチ1万円の高価格商品だったものが、ここへ来てかなり価格が低下していることもあり、当初の予想以上の売り上げを記録しているようだ。 

 実際、家電量販店の店頭で実物を見ても、「きれいに見える」という印象が強い。現在、50型、60型という大型が中心なこともあり、視聴者がかなり迫力を感じることは間違いない。販売員に尋ねてみても、「興味を持つお客さんが少しずつ増えている」と言っていた。

 ただ、4Kテレビがわが国の家電メーカーの救世主になるかというと、そこまでは期待できないとの印象を持つ。まず、一般家庭に浸透し、爆発的に売れるには価格が高すぎる。一部の富裕層ならよいだろうが、1インチ当たり1万円を少し切ったレベルでは、多くの家庭では手を出しにくい。また、テレビ単体というのでは、あまりに展開の余地が限られているからだ。

 わが国の経済成長を振り返ると、家電製品と自動車を売って発展してきたと言っても過言ではない。とりわけ家電製品の中で、カラーテレビが重要な売れ筋製品であったことは間違いない。