東京渋谷のハチ公前交差点は、1回の青信号で1000人を超す人々が横断しています。この交差点を上から見下ろしていると面白いことが観察できます。交差点を渡る約4分の1の人たちが、歩きながら携帯電話を使っているのです。人間はこんなに四六時中コミュニケーションを行う動物だったのかと、感心したことがあります。携帯電話を使う多くの若者を見ていると、もう感覚器官の一部と化したようにすら思えます。

「ケータイ」を
口コミの窓口に!

 ですから、最近は携帯電話と言わずに「ケータイ」ですね。ケータイを自宅に忘れてきたときの何とも言えない不安感、経験したことはありませんか? 最近あまり流行らなくなりましたが、一時期はケータイを首からぶら下げている人をずいぶん見かけましたね。一家に一台、世帯単位の通信手段は一気に個人単位の重要なツールになりました。

 ケータイの特徴は「いつでも、どこでも、持ち主と一緒」です。このウルトラパーソナルなツールと口コミは、とても相性が良いようです。もちろんケータイの中の口コミもネット口コミの一部です。ここではケータイ口コミの特徴と活用について考えていきましょう。

ケータイの特徴は
「仲間うちのおしゃべりツール」

 ケータイの電話機能しか使わない方にはイメージしにくいでしょうが、ケータイネットワークの中では非常に活発なコミュニケーションが展開されています。担い手の多くは10代と20代前半の若者たちです。その実際をご紹介しましょう。

 ケータイのコミュニティやブログの特徴は、「仲間うちのおしゃべりツール」という使い方が多いことです。パソコンのコミュニティが人と人とのネットワークを広げていくのとは対照的です。これは、出会い系などの特別な目的を持ったサイトを除いて、多くのケータイコミュニティに共通するポイントです。女子高生の仲良しグループが、グループの連絡用にブログを利用する、というイメージです。グループウェア的な使い方といってもよいかもしれません。

 そのため、グループと別のグループとの横のつながりはそれほど強くありません。また、mixiのように、1人のユーザーが別の複数のグループに同時に参加することも多くありません。口コミの広がりのためには「ハブ」となるユーザーが必要です。その意味では、グループとグループを結びつけるハブが少ないといえるでしょう。