週刊ダイヤモンド

 あなたが“ふるさと”を語るとき、何を語りますか?

 多くの人にとって、のどかな田園風景か美味しい農産物でしょうか。あるいは、伝統の祭りかもしれません。

 ところが、その“ふるさと”の風景は絶滅寸前です。地方やふるさとを語るときには、「シャッター通り」や「少子高齢化」、「人口減」などがセットで口にされるのが、もはや常識となっています。

 背景には、若者が職を求めて都市部へ移り住み、また地域経済を長年支えていた公共事業が減少の一途を辿っていることが挙げられます。加えて、住民の高齢化が地域経済の活力減退に拍車をかけています。

 地方の衰退を、手をこまねいて待っていてよいはずがありません。なぜなら、地方は日本経済や、さらには日本のアイデンティティを構成する重要な役割を担っているからです。

 たとえばライフライン。東京、大阪などの大都市圏に住む人々が何不自由なく快適な生活を送れるのは、水、電力、食料を供給する「地方」があるからです。文化や伝統も、地方発祥のものが多いはずです。

 今回の特集では、「地方活性化」という難題の解決策を、多くの経済人に考えてもらいました。各人のふるさとに対する思いや現状の分析、活性化するための施策を語ってもらいました。

 その数24地域、24人。地方活性化について、これだけの数のインタビューが一挙に掲載されることは、これまでなかったのではないでしょうか。

 さらに、一足先に地域活性化に成功しつつある地域のレポートもまとめています。公共工事をはじめとする、旧来の政治主導の活性化策ではない「新しい取り組み」が始まっています。

 ほかにも、週刊ダイヤモンドならではの「知事通信簿」から「ふるさと納税ランキング」「県民性の研究」まで、日本の地方を総特集しました。

 普段は時間に追われ、「“ふるさと”について思いを巡らす暇もない」という人に、ぜひ本誌を手にとっていただき、地方活性化といういまだに未解決の難題について認識していただければと思います。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)