日本とアメリカの「経済摩擦」の論点は常に同じです。日本から見れば、「貿易を自由化して、工業製品をどんどん輸出したい。でも、米をはじめとする農産業は守りたいので、輸入は自由化したくない」に尽きます。そんな中、すでに輸入自由化された品目もあります。「牛肉とオレンジ」です。

輸入自由化されている牛肉とオレンジ。
なぜ自由化されたのか?

TPP交渉の論点の1つが米の輸入自由化の是非ですが、すでに輸入が自由化された品目もあります。牛肉とオレンジです。輸入自由化によって、日本の畜産農家、ミカン農家は壊滅したのでしょうか。

 戦後、どのような貿易ルールが作られ、今に至ったかを見ていきましょう。

 戦勝国として、経済的にも圧倒的な力を持ったアメリカは、戦後の世界経済のルールを策定します。ブロック経済という極端な保護主義が世界大戦を招いた反省から、自由主義の原則を確立しようとします。ブレトン=ウッズ体制です。

(1)金=ドルを基軸通貨とし、固定相場制にする
(2)関税を引き下げて、自由貿易体制を確立する

 世界恐慌以来の200%の高関税を徐々に引き下げて、最終的には関税0%を目指そうというものです。