2013年は、日本と世界を包んでいた重苦しい“空気”が大きく変わった年だった。リーマン・ショック、欧州危機で乱高下した日本、米国、欧州、中国の景気が回復に向かい、楽観ムードが漂う。2014年、世界は再び成長への道を歩み始めることができるのか。東京オリンピックが開催される2020年までを展望する。

  本誌の年末年始の恒例企画、「総予測」特集です。産業・企業、政治、経済、暮らし、カルチャーなど幅広い分野にわたって、2014年以降の動向を見通すという大特集です。

 例年と違うのは「2014→2020年」と長期予測となっていること。2020年、つまり東京オリンピックの開催までに日本(特に東京)と世界がどう変わっているか、各界の権威や話題の人物が120ページ、75項目にわたって大胆に予測します。

「産業・企業」編の冒頭は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務める伊藤穰一さんのインタビューです。デジタル技術に関する世界最先端の研究施設では、どのような発想、体制でイノベーションに取り組んでいるのか。日本の産業界がイノベーションを通じて未来を創り出すには何をすればいいのか、について語ってもらいました。

 その他、アップル、サムスンに続くポスト・スマートフォン戦争の主役、次世代エコカーの開発競争の行方、東京五輪に沸く不動産・ゼネコン業界の課題、3Dプリンタによるものづくり革命は起こるのか、ビッグデータブームは続くのか……と、多様な話題に迫りました。

 産業界を代表して、長谷川閑史・経済同友会代表幹事(武田薬品工業社長)がインタビューで登場。同氏は、安倍政権の経済政策を高く評価する一方、政府が呼び掛けている賃上げについて「余力のある好業績企業は賃上げをすべき」との認識を示し、その前提となる安定成長のためにも、法人税率の再引き上げによって近隣諸国や欧米企業と競争できる環境をつくることが必要との見解を述べています。

日本と世界経済は再び
成長路線に回帰できるか

 また、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の奥村直樹理事長のインタビューも掲載。2020年までに宇宙開発の分野で日本がどのような存在感を示せるかについて語ります。2020年は、2014年度中に飛び立つ予定の「はやぶさ2」が地球に帰還する年。これから数年、楽しみな宇宙イベントが続きます。

 さらに、本誌で好評連載中の半沢直樹シリーズ最新作『銀翼のイカロス』の作者、池井戸潤先生による日本航空の施設(飛行機格納庫)の見学記も。何を隠そう、日本航空は同連載の舞台である「帝国航空」のモチーフなんです。さて、池井戸先生はそこでどんな着想を得て、それは2014年の半沢直樹の活躍にどう反映されるでしょうか。

 続く「日本経済・世界経済・国際社会」編のテーマは「成長の限界」です。米国の景気の回復、日本の円安と株高、中国の景気の底打ち、欧州危機の封じ込め……と、2013年は世界経済の不安要因が一時的に姿を消した年になりましたが、14年以降、日本を含む世界経済は再び成長路線に回帰できるのか。それが大きなテーマです。

 日本経済については、安倍政権のキーマンである菅義偉官房長官が「アベノミクスの2年目の課題」についてインタビューに答えました。また、富士フイルムホールディングスの古森重隆CEOが、「グローバルで勝てる企業像」について説きます。今の日本に必要なのは「前向き、外向き、上向きの“3つの向き”だ」と、明快に語ってくれました。

 その他、米国の政治学者でコンサルティング会社ユーラシア・グループの社長であるイアン・ブレマー氏に、米中関係をはじめとする2020年までの国際社会の展望を聞きました。

 株投資関連では、お年玉企画として「2014年の注目銘柄10」もお届けします。