「お・も・て・な・し」流行語大賞の秘密は<br />あのジェスチャーにあった!<br />――世界的プレゼンコーチが教える「印象」の残し方2020年東京五輪招致プレゼンテーションを指導した、トレーナーのマーティン・ニューマン氏 Photo:DOL

2020年東京五輪開催を決定づけた、2013年9月7日の最終プレゼンテーション。後に昨年の流行語大賞にも選ばれた「お・も・て・な・し」だけでなく、8人のプレゼンテーター全員の自信に満ちた、そして計算された発表内容の完成度の高さに多くの人が驚いた。
あのプレゼンの仕掛人であるトレーナー、マーティン・ニューマン氏は、これまでロシアのプーチン大統領をはじめ、世界各国の政府要人や企業トップを指導してきた実績を持つプレゼン界の第一人者。ニューマン氏のプレゼンの極意は、「言葉に気持ちを乗せる身体表現」だった。ビジネスの現場でも利用できる、印象に残る表現の極意を聞いた。(取材・文/河合起季、ダイヤモンド・オンライン編集部 指田昌夫)

五輪招致プレゼンで東京が他の2都市と違ったのは
“チームとしての一体感”

――昨年9月の五輪招致プレゼンテーションには、思わず引き込まれました。これまでと何が違ったのでしょうか。

 3都市とも招致活動を2年間続けてきたわけですから、各都市の特徴などはすでにIOCの選考委員の頭の中に入っています。ですから、最終プレゼンでは、東京がポジティブで一体感のあるチームであること、規律があり統制がとれていることを強くアピールしました。

 話の内容の濃さや正確性、発音の正しさなどより、このオリンピックに対する情熱、プレゼンに懸ける意気込みが伝わり、決めかねている委員を1人でも2人でもこちらに引き込むことができれば勝てる。そう確信していました。

 これは、ビジネスのプレゼンでも同じ。商品やサービスの価値はもちろんのこと、ポジティブで一体感のあるチームといった企業イメージはとても魅力的です。もし投資家であれば、そんな企業なら何かを成し遂げてくれるのではないか、と期待することでしょう。

 今回のプレゼンで、東京と他の2都市が大きく違ったのは、まさに“チームとしての一体感”でした。東京は、プレゼンター一人ひとりがスピーチを終えた後も、お互いにサポートし合い続けた。さらに、観客席の前列に座っている約100人の招致メンバーも気持ちの上では45分間一緒にプレゼンをしていたんです。