ガス機器で国内シェアトップのリンナイ。あまりグローバル企業のイメージを持たれていないが、海外進出した時期も早く、韓国やインドネシアではトップブランドだ。内藤弘康社長に次なる展開を聞いた。

――2013年に自己株式の売り出しなどで約176億円を市場から調達しました。集めた資金をどこに投資していますか。

リンナイ社長 内藤弘康 <br />中国のボリュームゾーンで勝負ないとう・ひろやす/1955年兵庫県生まれ。東京大学工学部卒業後、日産自動車入社してトランスミッションの設計を担当。1983年にリンナイへ入社し、営業、生産技術、製造、品質保証など担当。新技術開発本部長、経営企画部長を経て2005年に社長就任。創業者の次男である内藤進会長の娘婿
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 昨春から国内の製造拠点を再編し、営業拠点を拡大しています。そのなかで設備投資を行っていますが、それだけではありません。最近は海外案件の投資額が大きくなっている。12年に稼働したインドネシア第2工場の投資額は約40億円。中国も現工場が手狭になったので、新たに土地を取得して工場を建てます(上海市奉賢区、15年夏稼働予定)。約60億円を投じます。

――新工場を建てるほど、中国で儲かっているんですね。

 ガスインフラの普及と所得レベルの向上により、ガス機器の需要は拡大しています。コンロは地場メーカーが乱立しているので、正直あまり儲かりません。比べて給湯器は高機能化を競うなかでメーカー淘汰が進みつつあり、リンナイの技術力が生かせます。上海市周辺で売っている高級タイプでは一定のシェア(上海市内のガスタンクレス給湯器市場で約34%)を得ていますが、これからは地方も攻めます。

――つまり、普及価格帯商品、ボリュームゾーンを狙う。

 そう。そこを攻めないと、成長に限界がきます。新工場では生産能力を倍増し、給湯器100万台・コンロ50万台体制に整え、製品出荷価格を従来の8割程度に抑えます。給湯器の高級タイプの販売価格は日本円にして2万~3万円ですが、普及帯の1万5000円程度の商品を投入していきます。"高根の花"から、一般庶民にも手が届く商品になります。