技術系をはじめ、高い専門性を活用する多くの企業で重視されるのが、エキスパート・プラットフォームだ。

 しかし、専門知識や経験の共有化が、なかなかうまくいっていない企業は多い。その一方で、第3・8・9・10・11回で取り上げたP&G、PTC、応用地質などの企業は、ベスト・プラクティスを実現している。

 今回は理論的なフレームワークとともに、これら事例から学べることをまとめ、エキスパート・プラットフォームへの取り組み方について整理してみたい。

人をつなぐ戦略性の高い
プラットフォーム

 ナレッジ・マネジメントが登場してからかなり経つが、かつては情報・知識をライブラリー化することが主だった。しかし結果として、多くの企業で使われないナレッジ・マネジメント・システムがみられることになった。ユーザー部門は、本社あるいは情報システム部がこうしろと言うからと、仕方なく形だけ義務を果たしてお茶を濁すのが通例。こうしてナレッジ・マネジメント不信に陥った企業は少なくない。

 ところが、ベスト・プラクティス企業で実際に効果を出しているのは人をつなぐものだ。ここでは、旧来のナレッジ・マネジメントと区別してエキスパート・プラットフォームと呼ぶ。これは、社内の人材の知を属人でとどめず組織化するものであり、さらにコラボレーションを促進するものだ。

 第5回に、次のように社内コミュニケーション・プラットフォームを三つに大別して示した。

①インフォメーション
②エキスパート(専門性) 
③ソーシャル