かねてから懸案事項だった70~74歳の人の医療費の窓口負担割合が、この4月から2割に引き上げられた。

 70~74歳の人の窓口負担の引き上げは、法律の制定から5年以上凍結されてきたが、昨年12月に成立した「社会保障のプログラム法」で実施が決まり、一応の終止符が打たれた形だ。

 しかし、今回もいくつかの特例措置が講じられており、本則通りの運用ではない。70~74歳の人の窓口負担は、どのような経緯で引き上げられたのか、そして、どう変わったのか。改めて確認しておこう。

窓口負担をめぐって
政治に振り回された7年間

 70~74歳の人の医療費の窓口負担は、小泉・自民党政権下で行われた2006年の医療制度改革で、2008年から1割から2割に引き上げられることが決まっていた。

 ところが、翌年の参院選で自民・公明両党が大敗を喫することになる。高齢者の票離れを恐れた自公政権は、年間2000億円の税金を投入することで1割に凍結することを決定。2009年に政権は民主党に移ったが、政治主導を謳った割に、政権運営がおぼつかなかったのは多くの人が知るところで、70~74歳の窓口負担割合もそのままとなっていた。

 だが、昨年の参院選で、自民・公明で過半数を上回る議席を獲得したことで、いわゆる「ねじれ」は解消。利害関係者の調整もできたため、今年4月からの引き上げが実施されたというわけだ。

 この7年間の右往左往を振り返れば、高齢者の健康を考えて議論がされていたわけではなく、たんに政治的な理由から70~74歳の人の自己負担割合が凍結されていたに過ぎないことがよくわかる。

 だが、すでに1割になっていた人の窓口負担を2割に引き上げるのは、反発を招く可能性が高い。そこで、特例措置が講じられることになり、2014年4月1日までに70歳になった人は、特別に70~74歳の間の窓口負担は1割でよいことにしたのだ。