節約志向を反映してビール業界でも価格が安い「新ジャンル」に人気が集まる中、糖質やカロリー、プリン体を抑えた「機能系」商品が続々登場。だがこれらは「味が物足りない」イメージがあるのも事実。そこで『ダイヤモンド・オンライン』きってのビール好きライターが、新ジャンルで「糖質ゼロ」のロングセラーになっているという「キリン濃い味〈糖質ゼロ〉」の開発者を取材。ビール通が抱く、味に関する疑問をぶつけた。果たして、本当にウマいのか?

「キリン濃い味〈糖質ゼロ〉」生みの親・キリンビール商品開発研究所の蒲生徹さんに聞いてきた!

ビール職人も“糖質ゼロ”の商品は
「味が薄く、少し物足りないなあと思っていた」

 ここのところ飲料業界で、血圧や血中コレステロールなどを正常に保つことを助けたり、脂肪分を吸収しにくくしたりする特定保健用食品(通称:特保)など、健康を気遣った商品が人気を博している。「特保コーラ」といった、今まで想像もつかなかったような新商品まで登場している。

 ビール業界にもその流れは押し寄せてきた。価格が手ごろで人気の「新ジャンル」においても、「糖質ゼロ」や「カロリーオフ」、「プリン体カット」などの「機能性」を特長とする商品が目立つようになっている。

 だが、率直に言わせてもらえれば、こうした商品は「味が薄い」「物足りない」という感が否めなかったのも事実ではないか? 特に大の"ビール党"ほど、そういった思いが強い気がする(事実、筆者もその1人だ)。

 実際、キリンビールが以前実施したアンケート調査で、「機能性」を謳ったビール系飲料を過去に試したことがあるものの、今は飲んでいないと答えた人の中で、「味がおいしくない」との理由が最多を占め、それに次ぐのが「味が薄い」だったという。この消費者の声をビール会社はどう捉えているのだろう?

 そんな疑問を持って調べてみると、すでにキリンビールはこうした消費者の"不満"に応えるべく、「機能性」と「飲みごたえ」を両立させた商品の開発に注力していた。その結果、ビール好きにも納得される飲みごたえを持った「糖質ゼロ」の新ジャンルの商品を2011年2月から市場投入。それが「キリン濃い味〈糖質ゼロ〉」だ。発売から3年たった今も飲み続けられるロングセラーとなっているという。

 ビールのうまみに大きくかかわる糖質をゼロにしつつ、しかも飲みごたえを出すという相反する特長を両立させることは、技術的にどう可能なのか? そもそも、本当に飲みごたえがあってウマいのか?

 これは、「キリン濃い味〈糖質ゼロ〉」の開発を担当したビール職人から直接話を聞くしかない。そこで、キリンビールに取材を依頼すると、対応してくれたのがキリンビール商品開発研究所の蒲生徹さんだった。そう、彼こそが「キリン濃い味〈糖質ゼロ〉」を世に送り出したビール職人だ。

 ビール職人にとって、「機能系」はどんな味と感じていたのか、最初に疑問をぶつけてみると、返ってきたのは次の答えだった。

「味が薄く、物足りないなと私も思っていました」