米国経済の堅調が続く限り、ドル円の上昇観に揺るぎはない。今年1~3月は、米国の経済指標が寒波で思いがけず下振れた。しかし天候という一時要因で米景気は腰折れするはずもない。春とともに米指標は反発し、5月は、ドル円の再上昇にどう弾みがつくか極めて重要な場面、と注目してきた。

先月当欄では、米国の非農業部門雇用者数が平均的に前月比17.5万人以上増えるとき、ドル円は上昇しやすいと紹介した。5月2日発表の4月分の非農業部門雇用者数が28.8万人増となり、2、3月分も20万人以上の増加に上方修正された。しかし、ドル円は一瞬103円台へ上昇したものの、すぐ息切れしたように102円前後に反落した。

 市場の円安派は長く待たされ過ぎ、熱気を失ったかのようだ。1~3月は米寒波による肩透かし、4月は勇み足気味に期待したドル円反転の不発と、苦汁をなめた。5月は雇用指標が期待にかなう強さを示したが、ドル円の買い持ちをこの機会に巻き戻した。