京浜急行電鉄は近年、京急蒲田駅の高架化などの大型投資で、羽田空港への交通アクセスを改善してきた。次なる大仕事は、東京オリンピックの開催やリニア中央新幹線の開通で、さらに重要性が高まる品川駅周辺の再開発事業だ。鉄道事業者としての利便性向上への取り組みと、品川開発の方向性について聞いた。

京浜急行電鉄社長 原田一之 <br />品川を国際的に通用する街にはらだ・かずゆき/1954年1月22日生まれ、神奈川県出身。76年東北大学法学部卒業、京浜急行電鉄入社。04年鉄道本部計画営業部長、07年取締役、11年専務、13年社長に就任。
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――ダイヤを改正して、羽田空港に向かう列車の利便性を改善しました。

 京急蒲田駅の立体交差事業が2012年の10月に完成しました。それまでは、本線と空港線がまたぐ格好でしたが、下り線はすべてホームの3階に、上り線は2階に通して、上りと下り電車が交差せずスムーズに行き来できるようになりました。これでロスがなくなり、本数を増やすことができました。

 2012年10月にダイヤを改正したことで、朝のラッシュ時間帯に羽田空港へ向かう直通電車は、品川方面からは1時間に6本だったのが9本に、横浜方面からは1時間に3本だったのが6本に増えました。

――羽田空港へのアクセスでは競争力を増しています。今では東京モノレールより利用者が多いようですね。

 お互いに数字は公表していませんが、当社が羽田空港関連にハード面での投資をしてきた効果は出ています。

 1998年に羽田空港駅が開業した当時、1日の平均乗降人員は3万4593人でした。鉄道を利用する方の3分の1くらいのシェアでした。これが増えていき、2013年は国内線ターミナルと国際線ターミナル合わせて1日に約9万人のご利用がありました。