トヨタ自動車の成長神話を牽引してきた北米事業が、金融危機の影響をもろに被り、一転して赤字操業を余儀なくされている。米国トヨタ販売で「トヨタ」部門を率いるボブ・カーター副社長は、100年に一度の嵐がトヨタを直撃していると危機感を顕わにする。

ボブ・カーター 北米トヨタ販売ゼネラルマネジャー
ボブ・カーター 米国トヨタ販売(TMS) グループ副社長兼ゼネラルマネジャー

―2001年の景気後退局面など米国自動車市場の過去の低迷期を振り返ると、トヨタはいつも業界水準を大きく上回る成績を上げてきた。だが、今回は業界水準並みか、月によってはそれ以下の水準にまで落ちている。これまでと何が異なるのか。

 まず議論の大前提として、米国経済が現在、100年に一度の暴風雨の真っただ中にあることを認識してもらいたい。最初は原油価格高騰で始まり、その後、サブプライム問題をきっかけとする信用収縮が追い打ちをかけてきた。これほど大きな二つの嵐が重なったら、トヨタといえども、無傷ではいられなかったということだ。

 また、当時とは米国市場におけるトヨタのシェアが違う(2000年の9.5%から2007年には16.5%に上昇)。これほどのプレゼンスを占めるようになれば、以前にも増して市場縮小のあおりを被らざるをえない。

―回復はいつごろになると見ているか。

 それは難問だ。つまるところ、トヨタにとっての眼下の危機は、信用収縮というよりも、消費者のコンフィデンス(自信)喪失だ。トヨタファイナスはそもそも自動車販売金融をふんだんに提供する用意があるが、顧客の購買意欲が回復し、ショールームに来てくれなければ、話にならない。特に(往時にはトヨタの米国総販売台数の約25%を占めていた)カリフォルニア州とフロリダ州という二大市場の消費者心理の悪化は深刻であり、われわれも影響を受けている。

 年末から来年初頭にかけては、市場は現在と同等もしくはそれ以上に不安定化すると予想される。ただ、期待を含めて言えば、消費者のコンフィデンスさえ回復すれば、2009年後半にも上向くのではないだろうか。われわれも、市場心理の回復のために最善を尽くす構えだ。