2009年3月以来ここまで好調に推移してきた世界の株式市場だが、その原動力となったのは景気の回復とリスクマネーの増大であった。しかし足元は、その2つに変調の兆しが表れている。

 まず景気だが、11月の全米供給管理協会(ISM)製造業景況感指数が10月の55.7ポイントから53.6ポイントと予想を上回る低下となったほか、日本の景気ウォッチャー調査の現状判断DIは10月の40.9ポイントから11月の33.9ポイントに、比較可能な01年8月以降で最大の低下幅を記録した。

 元来、現在の世界的な景気回復については大規模な景気刺激策による部分が大きく、効果が一巡すれば回復ペースは鈍化するとの見方があった。景気の先行指標的な性格のあるISM指数などの低下は、景気がそうした局面に入りつつあることを示している可能性がある。

 一方、ドルキャリー取引に代表されるリスク資産へ資金が流入する動きが、これまで景気や業績の改善以上に株価を押し上げる役割を果たしてきた。