マインドを鍛え、「使える自分」になる

 炎に直面した会議や話し合いでは、いくらスキルやテクニックを使ってもまったく役に立たないことが少なくありません。下手な仕掛けをして、かえって火に油を注ぐなんてことも……。こうなってしまったら、ファシリテーターはお手上げ状態です。役立たずの自分に自己嫌悪に陥るか、自分のせいではないと自己防衛に走るか。いずれにしろ、よい結果にはつながりません。

マインドなきスキルは通用しないのです

 こんな場面こそ、炎の達人の出番です。
 炎の達人は、どんな状況でも動じることなく、平常心を持ってその場に立ち続けます。そして、穏やかに共感力を持って接し続けることで、緊張した場面をよりよい方向に導いていくことができます。

 つまり、スキルや手法ではなく、ファシリテーター自身の存在そのものが「場」を動かすのです。

 例えば簡単な質問だったとしても、硬くこわばったトーンで訊くのと、リラックスした柔らかなトーンで訊くのとでは、まったく違う反応が生まれます。ファシリテーターが「何を言うか」よりも、「どのような存在として、そこにいるか」のほうがよほど大事だと言えるでしょう。

 炎の達人として「場」に立つためには、自分の内面を鍛える6つの流儀を身につける必要があります。これらは独立したものではなく、相互に関連し補強し合っています。順番に身につけるというよりも、同時進行で取り組んでいきます。6つの流儀を自分のものにすれば、最後には自分ならではの流儀を編み出すことができるでしょう。