景気の好転、企業収益の回復基調にあって、企業の採用意欲が復活している。新卒採用は、学生側からすると「就職難」から一転、「売り手市場」化した観もある。それだけに、大企業の秋採用開始を控えた今、内定者の囲い込みは、人事部門、採用担当にとっては例年にも増して重要な課題となっている。本連載では、内定者フォローの意義と、その手法について、解説する。

学生たちは心の底からあなたの会社に
入社したいと思っているか

 内定者フォローという言葉は、この10年ほどで、企業の人事担当者の間に、すっかり定着しました。

 現在の新卒採用では大企業を中心に、5月のゴールデンウィーク前後には、学生に内々定を出します。それが第一波と言えます。

 幸運にも第一波に乗り、内々定を勝ち取った学生にとっては、それから入社まで、実に1年近くの長い内定期間を過ごすことになります。

 あまりに長い内定期間のうち、学生の気持ちは時々に揺れ、迷いも生じます。

「本当に、この会社でよかったのだろうか」、「先輩たちとうまくやって行けるだろうか」、「もしかすると、もっといい選択肢があるのではないか」……。

 そして、内定を辞退し、新たなチャレンジをする。そんなケースも出てきます。

 それを未然に防ぎ、入社への期待感を高めること。それが内定者フォローの第一の目的と言えるかもしれません。

 そこで必要になるのは適切なコミュニケーションであり、社風を伝えるような情報の提供です。

 ただ、それ以前に果たすべき課題があるように思います。

 それは「ミスマッチの軽減」です。

 内々定を出すということは学生側も会社についての情報を集め、面接などを通じて「働きたい」という意欲を示し、それが認められて入社の合意に至った、ということです。

 しかし、学生たちは心の底からあなたの会社に入社したいと思っているのでしょうか。

 それが、まず考えるべきポイントです。