2015年から相続税が実質増税される。とくに都心に親が暮らす50代にとっては、これからの親の世話や介護、自身のリタイヤまでの生活設計に加えて、相続対策も頭を悩ます問題になる。税金や住宅ローンの専門家にそのためのプランづくりのポイントを聞いた。

都市部に持ち家なら
相続税の納付が必要に!?

監修/公認会計士・税理士
青木寿幸氏

日本中央税理士法人 代表社員/代表取締役。
アーサーアンダーセン会計事務所、モルガン・スタンレー証券会社、本郷会計事務所などに勤務後、日本中央税理士法人を設立。2008年には、株式会社相続税申告会を設立。

「最近、相続税対策としてどのように自宅の土地を活用したらよいかという相談が非常に増えていますね」と語るのは公認会計士・税理士の青木寿幸氏。

「2015年1月に相続税の基礎控除額が縮小され、現在の5000万円+1000万円×法定相続人の数から、3000万円+600万円×法定相続人の数に変更になります。預貯金がそんなに多くなくても、相続税の課税評価額は預貯金や有価証券、土地などの資産の合計ですから、都会で土地付き一戸建てを持っている場合だとご主人が亡くなり(一次相続)、奥さんも亡くなった場合(二次相続)にはこの基礎控除額をすぐに超えてしまい、相続税を納める必要がある人が相当数増加するでしょう」

 自宅の土地の課税評価額は時価だと勘違いしがちである。しかし「相続税の土地の評価は国税庁が定める路線価が基準になります。おおまかな目安としては、時価の8割程度と考えておけばよいでしょう」(青木氏)

 路線価は長らく下降する一方だったが、2014年7月に発表された路線価は下落幅が縮小し、首都圏、大阪府、愛知県などで上昇の兆しを見せている。

 下の表Aのように財産の課税評価額が1億円の場合、子が一人なら1220万円、二人なら770万円の相続税納税が必要だ。2015年からは基礎控除額の縮小だけでなく、2億円以上の相続財産がある場合には相続税が増税になるので対策は必須だ。