2007年度で6期連続となる連結最終赤字に沈んだ西友は、米ウォルマート・ストアーズの完全子会社として今年4月には上場廃止となる。一方、“ウォルマート最強”という伝説のメッキは、米国でも剥げ始めた。西友の業績反転の兆しが見えないなか、ウォルマート日本撤退あるいは大ドンデン返しの競合買収という“Xデー”のうわさも囁かれ始めた。

 西友にとって上場会社としての最後の決算は、“悲惨”のひと言だった。連結営業利益は、ウォルマートとの提携後最低となる4億円にまで減少。本業の小売りセグメントでは16億円の赤字。前期で一巡したはずの店舗の減損処理が新たに70億円発生。販売管理費の削減は頭打ち。粗利益率は低下。既存店前年比売上高も下落の一途だ。自己資本比率も前期比3.6ポイント減り、わずか6.2%にまで落ち込んだ。決算発表ではメイン行のみずほコーポレート銀行と併せ、ウォルマートが引き込んだシティバンクとも「長期資金調達の実現に向けて協議している」と“安全性”のアピールに躍起だ。

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 「先進のITと物流システムでコストを抑え、規模の経済で商品仕入れでメーカーから有利な条件を引き出す。そのため、特売を行なわずにいつでも競合店よりも圧倒的に安い価格(EDLP)を実現する」――。この“成功”モデルが西友では実現されていない。

全店の4分の1に及ぶ店長の大量退職で店は混乱

 売り上げ不振の理由は明確で、「西友は値段が高く品揃えも悪い」(買い物に来ていた主婦)のだ。大田区の2店舗の西友で、生鮮品、加工食品、飲料など13商品の価格を競合店と比較調査したところ、どちらの店舗でも競合よりも西友の合計金額が高いことがわかった。特に生鮮品では、チリ産の鮭の切り身が競合店の北海道産より高い、などという体たらくだ。特売になっている調味料なども、ほとんどの商品で西友のほうが高い。