明日を支配するもの
ダイヤモンド社刊
2310円(税込)

 「知識労働の生産性を向上させるための条件は大きなものだけで6つある。仕事の目的を考える。働く者自身が生産性に責任を負う。継続してイノベーションを行う。継続して学び人に教える。知識労働は量よりも質の問題であることを理解する。知識労働者は組織にとってコストでなく資本であることを理解する」(『明日を支配するもの』)

 ドラッカーは、これからの中心的な課題は、知識労働の生産性の向上だと言う。

 すでに先進国では知識労働者が労働力人口の中核を占めている。そして、それらの人たちの生産性にこそ、先進国の生存と繁栄はかかっている。

 知識労働の生産性についての研究は始まったばかりである。知識労働者の生産性は、仕事の質を中心に据えなければならない。しかも、最低を基準としてはならない。最高ではないにしても最適を基準としなければならない。量の問題を考えるのは、その後である。                           
 知識労働で重要なことは仕事の目的である。知識労働では仕事は何かが中心的な問題となる。肉体労働と異なり、仕事がプログラム化されていないからである。

「知識労働の生産性向上のために最初に行うことは、行うべき仕事の内容を明らかにし、その仕事に集中し、他のことはすべて、あるいは少なくとも可能なかぎり無くすことである。そのためには知識労働者自身が、仕事が何であり、何でなければならないかを知らなければならない」(『明日を支配するもの』)