形ばかりの改革で終わるのか、それとも抜本策に踏み込めるのか――。

 安倍晋三内閣からの懸案となっている公務員制度改革が11月半ばにかけて、最大の山場を迎える。

 改革の目玉として新設することになっている「内閣人事局」について、甘利明公務員制度改革担当大臣が予想に反し、抜本改革を目指して中身まで踏み込んだ制度設計を志向しているのに対し、抵抗勢力と呼ばれる官邸官僚たちが「(甘利大臣は)問題を先送りするつもりのようだ」との情報をメディアに流してかく乱しているという。

 このまま官僚ペースで進めば、内閣人事局は、改革とは名ばかりの存在に成り下がる。中身を決めずに官僚任せにするということが、「現在、総務省にある2局を分離・独立させて、事実上、旧・総務庁を復活させようという抵抗勢力を利するもの」に他ならないからだ。

 深刻さを増す世界的な金融危機が、日本に政治・経済の構造的な改革を迫っているにもかかわらず、その改革の一翼を担うべき公務員制度改革は「風前の灯火」になっている。

福田前首相以上に
麻生首相は改革に不熱心

 10月3日付けの本コラムでもリポートした通り、公務員制度改革は、財政改革や規制改革と並ぶ重要な改革だ。官僚の抵抗は執拗で、あの小泉純一郎元首相でさえ在任中は取り上げることを嫌ったというほど実現が困難な改革だ。

 それでも、安倍晋三元首相、中川秀直元自民党幹事長らが火中の栗を拾い、一連の論議がスタートした。

 現在進められている改革の柱は、福田康夫政権下の今年6月に、渡辺喜美元公務員制度改革担当相が奔走して成立させた「国家公務員制度改革基本法」に規定されている。

 その中で最も重要なのが、現在、争点となっている「内閣人事局」だ。同局は、これまで各省別に縦割りに行われてきた人事を一元化するもので、総理直轄の内閣官房に設置され、各省庁の幹部職員人事を一手に担うことが期待されている。

 そんな中で、抵抗勢力が喜んだのが 福田康夫前首相の突然の辞意表明と麻生太郎首相の就任だった。安倍元首相に比べれば、福田前首相も決して公務員改革に熱心とは言えなかったが、麻生首相はそれ以上に公務員改革に熱心でないことで知られていたからだ。