血液型と疾病リスクに関する研究が進んでいる。少しでも早く、脳卒中や心血管疾患など重大な病気の予防に努めようということだろう。なにせ、生まれた時にリスクが分かるのだから。

 先日、米バーモント大学から血液型と認知障害発症リスクに関する研究が報告された。もともと、この研究は、米国の地域住民の脳卒中リスクを調べる目的で実施されていたもの。研究開始時点で、認知障害がなかったにもかかわらず、追跡期間中に認知障害を発症した495人と、未発症の587人とで血液型を比較している。血液型は遺伝子型で判定した。

 その結果、認知障害発症群にAB型の人が占める割合は6%に上ることが判明した。米国の全人口のうち、AB型が占める割合は約4%。従って、ある集団に占める比率としては高い。ちなみに、未発症群でのAB型の割合は、全人口比と同じく4%だった。

 さらに年齢、性別、人種や居住地域の影響を排除して比較した結果、O型を基準とすると、AB型の認知障害の発症リスクは82%上昇することが示されている。一方、A型、B型では、有意なリスク上昇は認められなかった。

 さらに、「血液ドロドロ因子」である第8因子の血中濃度を調べたところ、O型は平均104IU/デシリットルと最も低かったのに対し、AB型は142IU/デシリットルと最も高いことが判明している。ただし、AB型という要素は血液ドロドロ因子の血中濃度に関わらず、単独で認知障害のリスクになるらしい。研究者は「次は、ABO式の血液型に影響される他の血液ドロドロ因子を調べる必要がある」としている。

 血液型と疾病との関連では、米国の看護師約6万2000人を対象とした研究で、O型の冠動脈疾患の発症リスクを1とした場合、A型は1.08倍、B型は1.11倍、AB型は1.2倍に上昇することが示されている。冠動脈疾患と認知障害のリスク因子は重なることが多い。やはりAB型は要注意といえるだろう。

 とはいえ、持って生まれた血液型は変えられない。AB型の方は、生活習慣の乱れにご注意を。特に、食習慣の改善は大切です。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)