10月16日に東証1部に上場後、株価は高値で推移し、時価総額は2兆円を超えた。峰岸真澄社長に上場後の“本音”を聞いた。

――上場後の周囲の反応に対して、どのように感じていますか。

リクルートホールディングス社長兼CEO 峰岸真澄 <br />買収戦略で人材業界世界一を目指すみねぎし・ますみ/1987年リクルート入社。92年、結婚情報誌「ゼクシィ」立ち上げメンバーとなり、その後2002年、ゼクシィ事業部長に就任。03年執行役員、04年常務執行役員、09年取締役常務、11年取締役専務を経て12年4月から現職 Photo by Toshiaki Usami

 メディアからはよく、「起業家精神が失われるんじゃないか」と聞かれますが、上場とそれがどう関連するのか、逆にこっちが聞きたい(苦笑)。起業家精神が強みなんだから、失ったら元も子もないわけです。

 新規事業コンテストには年間500件の応募がありますし、その中から、大学受験サポートの会員制サイト「受験サプリ」のようなヒット事業も生まれている。また、このチームのリーダーだった社員は事業会社の執行役員になっているように、若手でも力があればポジションは上がる。そういう組織の躍動感は全く変わっていません。

――持ち株を売って退社する社員が増えてないですか。

 上場前後で退職率に変化はありません。もともとリクルートは退職を“卒業”と言うような「個を尊重する」文化です。事業を生み出すのが好きな人が集まっていて、会社が“強い個人”に対して仕事をする場を提供できるか、あるいは“強い個人”が会社を辞めて自分で場を作るか、対等な関係なんです。そこは組織として常に緊張感を持ってやっています。