Q.金融庁の主導で各地の地方銀行が経営統合を進めています。規模拡大を追求する方向性は理解できますが、それだけで地方銀行の将来が開けるとは考えられません。堀江さんは地方銀行の経営統合をどのようにご覧になっていらっしゃいますか。(神奈川県 30代・男性)

ネット銀行、コンビニ銀行の存在拡大で
地銀が果たすべき役割が大きく変容した

A .2005~06年に全国で進んだ市町村の“平成の大合併”と本質的には同じだと思います。

 市町村の合併は、地方自治体の債務比率や自主財源比率を高めるために、比較的財務体質のよい自治体に対し、財務体質の悪い自治体と合併させるインセンティブを与えて、トータルで財政状態の改善を促進させるものでした。

 今回の地方銀行の統合も銀行の自己資本比率を高め、破綻のリスクを低く抑えようとしているのでしょう。

 しかし、その実態をよく考えると、改善はおろか変わらない、いや、むしろ統合によって組織が肥大化し、一方ではシステムの統合などのコストなどもかかってくるので、結局は問題の先送りにすぎないのではないかと感じています。

 そもそも“生き残るための統合”という考え自体が後ろ向きですよね。生き残りを模索するくらいなら、いっそのこと廃業なり、営業譲渡するなりして、経営陣や幹部社員のリストラを行いコストを削減して、一方では無駄な競争をなくすことが大事なのではないでしょうか。

 ネット銀行やコンビニ銀行の登場により、預金の預入れや引出し、決済といった面で地方銀行は実質的に必要がなくなりつつあります。

 むしろ、地域産業の活性化や地元企業の育成といった地方銀行本来の役割を果たせるかどうかが、今後の盛衰のカギになってくるのではないでしょうか。