総選挙の公示を1週間後に控え、11月25日現在、各党の公約が発表されつつある。政党やメディアがマニフェストという言葉を使わなくなったのは、民主党がその言葉を泥まみれにしてしまったからだろう。

 野党の軸となりそうな既に発表された民主党と維新の党の公約を一覧すると、(1)アベノミクスに対する評価、(2)集団的自衛権への対応、(3)消費税再増税に先行する行政改革、(4)原発政策への対応の主要4争点については、一部を除いて大筋で同じ方向を示していると言ってもよい。

集団的自衛権と原発政策では
明快な民主党、玉虫色の維新の党

 (2)と(4)について最も鮮明な公約を打ち出しているのは民主党だ。

 特に(2)の集団的自衛権については、7月1日の行使容認の閣議決定の撤回を約束している。この公約が最も評価できる。おそらく、党内で集団的自衛権の行使を容認する一部の人たちに配慮したのであろう。その人たちが姑息な解釈改憲ではなく堂々と憲法改正すべきだと考えているとしたら1つの見識である。

 一方、この問題について野党第二党の維新の党の公約は実にあいまいだ。

「自国他国の攻撃を問わず日本の存立が脅かされている場合に可能な『自衛権』行使の在り方を具体化し、必要な法整備実施」(11月24日付 日経新聞)

 率直に言って意味がわからない。相対立する意見があるから逃げているのだとしたら、同党に対する大きな期待を半分以下に減殺してしまう。この点については、明快な民主党に直ちに同調すべきだ。

 (4)の原発政策も民主党の方が理解しやすい。

 ただ、民主党の「2030年代の原発ゼロ」も30年とか35年とかゼロにする年を明確に示すべきだ。39年でも30年代だが、このようなあいまいさは民主党の本気を疑わせる。

 この点について維新の党は、「原発依存からの脱却」を主張しているものの「『核のゴミ』最終処分解決なくして原発再稼働なしの原則で原発再稼働責任法を制定」としている。

 これもまわりくどく自信のない公約で玉虫色にも見える。