外遊の「遊」は
“自由に動く”の意

 こんにちは鈴木寛です。

 衆議院が解散しました。文部科学省に参与として“復帰”したばかりで、いきなりの政局に戸惑っておりますが、「35人学級」の維持や大学入試改革など教育政策上の重要課題が残されていることに変わりはありません。

 総選挙の最大の争点はアベノミクスの是非になりますが、人それぞれの関心事項もあるはずです。国政選挙を巡るマスコミ報道は大概、3大争点として憲法や経済、外交・安全保障に絞り込んでしまいがちですが、議員時代、教育や医療をライフワークにしていた私は、生活に密着した課題がなおざりにされることが残念でなりませんでした。

 子育て中の親御さんにとっては、投票先を吟味する際、「教育をコストとして捉えるのか、投資として位置付けるのか」という視点もポイントになるでしょう。前回のコラムで申し上げた内容が少しでも参考になればと思います。

 ところで安倍総理が解散を表明したのは「外遊」から戻ってすぐのことでした。中国、ミャンマー、オーストラリアの3ヵ国を歴訪し、APEC首脳会議、G20首脳会合など重要な外交日程を戻ってこられました。就任以来の2年間、積極外交により、訪問先の数はすでに歴代総理で最多となっています。

「外遊」という字面はなにか海外で羽根を伸ばしている誤解を受けそうです。春先の大型連休シーズンに合わせた外遊も多いので余計にそういうイメージを持たれそうですが、広辞苑を紐解くと「外国に旅行すること」です。外遊の「遊」の文字は、遊ぶことではなく、自由に動くことの意です。

 野球の遊撃手の「遊」も元来は内野手で唯一、ベースに紐付いたポジションではないことからネーミングされたのだと思いますが、一方、公務での外遊となると、そうした自由は一切ありません。ときには、一ヵ国に数時間だけのショートステイも珍しくなく、慌ただしい外交日程で分刻みのスケジュールをこなします。文部科学副大臣時代の私も、色々な国に会談や視察に行きましたが、家族への土産物を買うようなゆとりは本当にありませんでした。