今週は本論であるメディア論に戻ろうかと思っていたのですが、日々入ってくる情報から、民主党が目指す“脱官僚”が早速暗礁に乗り上げつつあるように感じられますので、今週はこの問題を考えたいと思います。

民主党内部の勢力争いに便乗
菅直人外しに血眼の官僚たち

 これまで何度も言っていますが、私は民主党の目指す“脱官僚”という方向性は正しいと思っていますし、是非それを成し遂げてほしいと心から願っています。

 しかし、どうも“脱官僚”の司令塔になるべき国家戦略局が、既に官僚によって骨抜きになりつつあるように見受けられます。

 どうやら、そもそも民主党の内部でも政治家同士の勢力争いのようなものがあるようでして、副総理である菅直人さんが実権を握るのを嫌う政治家が多いようです。そして、官僚がそうした対立の構図にどんどんつけ込んで、国家戦略局に出来るだけ権限が行かないようにしようとしています。

 例えば、藤井財務大臣は「予算の編成権はあくまで財務省にある。その大原則は何ら変わらない」と記者会見で発言しています。これは、財務官僚にとっても望ましい姿であり、大臣と官僚が一致団結して、国家戦略局を予算に関与させないように仕向けているとも見られるのではないでしょうか。

 また、経産省も水面下で盛んに暗躍しています。経産省は行政刷新会議に食い込んで、国家戦略局よりもそこに様々な権限を持ってこようと画策しているようです。

 なぜ官僚はそのような行動をしているのでしょうか。理由は簡単です。官僚の側からしても、菅さんがもっとも怖いのです。だから、菅さんよりも官僚に対して理解のある他の大臣のところに出来るだけ多くの権限が残るようにしたいのではないでしょうか。