青息吐息の住宅業界
国に5つの要望を提出

オウチーノ代表取締役社長 兼 CEO
井端純一
同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGAT SURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、オウチーノを設立。日本最大級の住宅・不動産サイト「O-uccino」、リフォーム費用比較サイト「リフォームO-uccino」注文住宅・リフォームの匠検索サイト「建築家O-uccino」などを運営。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通刊)『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』『10年後に絶対後悔しない中古一戸建ての選び方』(ともに河出書房新社刊)などがある。

 ようやく“大義なき”衆院総選挙が終わって、年末年始にかけ、2015年度予算編成の前提となる税制改正作業が急ピッチで進むことになる。

 住宅業界は今、14年4月からの消費税増税による駆け込み需要の反動減が続いている状況だ。新設住宅着工数は8カ月連続で前年比を下回り、ハウスメーカーの中には中間決算で、受注が3割超落ち込んだところも出た。

 日本経済の成長エンジンでもある住宅産業がこのまま青息吐息では、デフレ脱却など絵に描いた餅。そこで住宅業界は5つの要望を国に提出している(「住宅取得に軽減税率を適用」「住宅取得に向けた贈与税非課税枠の大幅拡大」「フラット35Sの金利引き下げ」「一定条件をクリアしたリフォームへのポイント還元」「中古住宅買取再販に係る不動産取得の非課税化」)。

 すでに消費税は、17年4月に、10%に上がることが想定されている。その際の軽減税率の適用も検討されている。対象は食料品など「生活の重要材」に限られる。だが、食料品と並ぶ生活の重要材の住宅にも「軽減税率を!」という声が盛り上がらないのが不思議でならない。

 国は消費税を「欧米並み」に上げることのみアピールして、欧米では、生活の重要材である住宅取得に対しては、消費税非課税、もしくは軽減税率の適用が常識なことを黙して語らない。

 全くフェアではない。欧米並みの消費税を目指すなら、住宅も外すべきだと、私は本欄で何度も指摘してきた。