原油価格:
5年8ヵ月ぶりに1バレル50ドルを割った

 2015年に入っても、原油価格の下落に歯止めがかからない。日本経済に影響しやすい原油価格は、東京ドバイ原油価格(東京原油スポット市場における中東産ドバイ原油の翌月または翌々月渡しの現物FOB価格)である。その東京ドバイ原油価格が、今月6日に49.9ドル/バレルと、2009年5月1日以来、5年8ヵ月ぶりに50ドルを割った(図表1参照)。

原油価格と為替介入の観点から2015年の日銀を読む <br />「2%」はオデッセイ、「2年」はデルフィへ<br />――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト注:「東京ドバイ原油」は東京原油スポット市場における中東産ドバイ原油の翌月または翌々月渡しの現物FOB価格
出所:ブルームバーグよりバークレイズ証券作成

 昨年12月21日に、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源大臣が「原油価格が20ドル/バレルになってもOPECは減産しない」と明言したことも、売り安心感を強めたと考えられる。

量的・質的金融緩和(QQE):
いよいよ2年が経過する

 一方、日銀が2013年4月に「量的・質的金融緩和」(QQE)を始めて、間もなく2年が経つ。いよいよ「物価安定の目標」、つまり「CPI前年比2%」の実現が厳しく問われる。黒田日銀総裁もコアCPI(生鮮食品を除くCPI)について、「2015年度を中心とする期間に前年比2%程度に達する可能性が高い」と、12月の定例会見で明言している。

日銀のCPI見通し:
今月20~21日の決定会合で下方修正は必至

 日銀の物価見通しについては、前提となる原油価格や為替の水準は公表されていない。しかし、足もとで進む原油価格の急落を想定していたとは考えにくい。実際、日銀の2015年度コアCPIの見通しは前年度比+1.7%と、筆者(+0.8%)や市場コンセンサス(+1.09%)を大きく上回っている(図表2参照)。

原油価格と為替介入の観点から2015年の日銀を読む <br />「2%」はオデッセイ、「2年」はデルフィへ<br />――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト注:1.筆者予測は実質GDPが12月8日、コアCPIが12月26日時点。
      2.コンセンサスは日本経済研究センター『ESPフォーキャスト調査(12月調査)』による。同調査の調査期間は11月25日~12月1日。
出所:日本銀行、日本経済研究センター『ESPフォーキャスト調査(12月調査)』よりバークレイズ証券作成
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